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Kyimyindine盲学校マッサージトレーニング(2009.08.8〜9)
(JAPAN HEART 舟橋 智恵)


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JAPAN HEART とは

2004年に10年近く海外医療に関わってきた吉岡医師によって医療ボランティア,ジャパンハートは設立されました。 2006年には大きく育った看護師達を中心に海外の臨床医療のみならず国内を含めた様々な活動に取り組むために 看護部を海を越える看護団と命名し,独立させ,活動を行っています。(JAPAN HEARTのHPより抜粋)

JAPAN HEART のHPは、こちらです。

ミャンマーの現状

盲学校の外観

 ミャンマーにおける視覚障害者数は30〜40万人以上いると言われており、政府からの支援はほとんど受けられない状況である。 国内の盲学校は国立盲学校3校、仏教系とキリスト教系などが運営する盲学校5校、国内NGOはキリスト教系の2校のみである。
 海外からの援助のほとんどはキリスト教系の団体経由であるが、仏教主流のミャンマーでの活動は難しいようである。
 国内外からの支援の少ないミャンマーでは多くの視覚障害者らは教育を受けることが困難といえる。 田舎に住む視覚障害者の多くは盲学校の存在すら知らず、差別を受け社会に出る機会を失っている者も少なくない。 運良く盲学校に通うことのできた学生らの一部はマッサージを習得しそれを職業としているが、専門的な指導を受ける機会はほとんど無い。 そのため指導はマッサージ経験のある年配の視覚障害者が若年者らに行っているのが現状である。 マッサージ手技を習得した彼らが経験を積む場所は、盲学校の運営するマッサージ所が主で独立開業する者は一握りである。
 彼らの技術レベルは決して高いとはいえず、専門的な指導を受けていないため解剖生理学的知識に関してはほとんどないと言える。 人体に関する一般的な知識にも乏しくマッサージの効果、作用についても理解せぬまま行っているのが実状である。 彼らの中には1996年と2005年に来緬した日本人整体師に指導を受けた者が若干名いるがそれ以降指導を受けた者はいない。

マッサージトレーニングの内容

トレーニングの目的
ミャンマーの視覚障害者らの現状、技術レベルを把握し今後の支援の方向性を検討する。

トレーニング対象者
国立盲学校を卒業、在籍中のマッサージ経験のある視覚障害者17名
男性:10名 女性:7名
(内、指導的立場の者5名、日本人整体師から指導を受けた経験者5名)

トレーニング期間
2009年8月8日〜9日の2日間

指導者
日本人鍼灸師2名

トレーニング方法
 ・2名のグループ4組、3名のグループ3組を二つに分けて指導。
 ・経験のある者を各組に配置しグループのリーダーとする。
 ・日本人指導者がリーダーに指導し彼らが次へ伝えていく。

トレーニング内容
 ・骨、筋を中心とした解剖学生理学的知識の講義。
 ・頚、背部、腰、臀部、下肢、上肢、に分けてマッサージ手技の実践。
 ・各部位のストレッチング。

トレーニングの結果

トレーニングの様子

 参加者の殆んどが数年単位のマッサージ経験があり、手技の内容は皆一様でおそらく 限られた指導者の下で習ったためと思われる。
 指導的な立場にいる数名の者は按摩師に指導を受けた経験があり手技は習得しているが、 解剖学生理学的知識はあまりないと言える。彼らのマッサージ技術は現時点でも他の途上国の 盲人マッサージ師と比較しても決して劣っていないと思われる。
 数名の者以外は知識はもとより、マッサージ手技の完成度は低かった。 手技の流れは理解しているがどの筋に対してマッサージしているかという意識は殆んどない様子であった。
 彼らの解剖学的知識は、動脈、静脈という一般的な解剖も習っていない状態であり、 骨格、筋に関する知識も乏しかった。ただ彼らの学ぶ姿勢からは積極性が感じられ、 解剖生理に関しても説明すれば今までの経験を重ね合わせることで理解できるようであった。
 実際に臨床での経験がある者からは症例に関する質問が多く聞かれたが、疾患に関する知識もなく、 また専門家がいないため治療の術を知らないままマッサージを行っているようである。
そのため海外からの専門家による指導を、彼らは非常に求めているようであった。

結論、考察

トレーニングの様子

 絶対的な盲学校数の不足、指導者の不足、マッサージ実践現場の不足があり、 社会的にも盲人の地位は低く村では差別待遇を受けている者も少なくない。 マッサージを習得し実践できる者は非常に限られており、彼らでさえ十分な指導を受けられず 先人の経験を受け継いで今に至っている。盲人に対する社会の認知度は低く独立開業できる者はさらに限られると言える。
 実際に村で開業できた者でも、専門的な知識がなく疾患についても理解出来ていない為、 治療するまでに至っていないようである。またミャンマーの風潮からか強刺激のマッサージが一般的に好まれるようで、 彼らはマッサージとは強刺激が効果的であると理解している節が見受けられた。 マッサージの効果、作用について学ぶ機会はなく、手技のみ習ってきた結果ではないかと思われる。
 今回トレーニングに参加できた者はほんの一握りで、盲人の多くは学校にすら通えていないのが現状である。 ミャンマーでは政府による盲人支援もなく、教育を受けられない者は社会で生きていく術もなく、 村にこもったまま生涯を終えていく。運よく盲学校に入学できた者でも十分な教育が受けられるわけではなく、 特定の職業に就けるものはわずかである。
 以上のような現状から、ミャンマーにおける盲人支援の必要性は高いといえる。 盲学校を建設し、マッサージ経験者らを指導者とすべくトレーニングし、学校を卒業した後も、 社会に出て職に就けるよう支援していく必要があると考える。